結局、颯太くんが食べきれなかった『キムたこ』を全部もらって、帰ってきた。

家のテーブルの上にどさりと置いたたこ焼きのふくろを見ていたら、颯太くんのことを思い出した。

『総合優勝できたら、ちゃんと好きだっていうんだ』

多分、颯太くんはえれなに告白するんだろう。
ふたりがあんなにいい感じなのに、いまだに颯太くんが告白しないでいるのは応援団長になった颯太くんなりのけじめなのかな。

総合優勝したあとに、颯太くんが告白してくれたら、えれなはうれしいだろうな。なんだか本当にテレビの青春ドラマみたいだ。

そして、そんな青春ドラマのヒロインはやっぱりえれなだ。えれなしかいない。そう考えたら、なんだかやりきれなくて、ため息をつきそうになった。そんな自分に気づいて、 わたしはたこ焼きをあわててつまんで、口にほうりこんだ。さめたたこ焼きは少しもさっとしていて、胸につかえた。むせながら、あわてて水を飲み、それでもまだのどに詰まって、咳き込んでいたら、涙がでてきた。

ばかみたい、たこ焼きをのどにつまらせて泣くなんて。

ほんとに、ほんとにばかみたいだ。