「なにがしたいの?」

もぐもぐ、ごっくんとたこ焼きを飲み込むと颯太くんは言った。

「……好きな子に告白するんだ」

颯太くんの言葉に、一瞬周りの音が聞こえなくなった。
空気が薄くなって、すべてが遠くに行ってしまったような感覚に襲われた。
そんなわたしに気づかず、颯太くんは続けた。

「総合優勝できたら、ちゃんと、好きだって言うんだ。まあ、願掛け? 験担ぎ? みたいなもんだな」
「そっか………」

わたしも何個目かになるたこ焼きを頬張った。

「だったら、勝てるといいね」

なぜだか、思ってもいなかった重く暗い感情が湧き出てきて、わたしは戸惑っていた。

その感情を抑えるために、何か話さなくてはと思った。

「がんばって」

たこ焼きを口いっぱいに頬張りながらそう言ったけど、うまく言葉にできていたかはわからない。
せめて、そらぞらしく響いていなければいいと思った。