「どこが?」

思わず真剣に聞いてしまう。

「なんか、押し付けてこないところが。簡単に言葉を口にしないで、一生懸命選ぶだろ。そういうとこが優しい」

その言葉を聞いたら、鼻の奥がつんとして、泣きたくなった。
わたしが苦手で、自分でもいやだなって思ってるところを、いい方向にとらえてくれて、そして受け入れてくれる……、それってこんなにうれしいことなんだなって、そう思った。

「あー、みんなもがんばってるし、負けたくねえなあ」

颯太くんがしみじみとそう言った。あくまで明るく、ふざけた口調だけど、でもそこに潜む切実な響きに胸がきゅっとなった。

「後悔するのだけはほんとにやだな」

わたしは黙ってうなずいた。

そうだよね、後悔はしたくないよね。でも、こんなにがんばってるんだもの、きっと大丈夫。絶対大丈夫。

颯太くんを見てたら、心からそう言いたくなった。どう考えても口に出すべき言葉だけど、わたしはやっぱり思うことしかできなくて、だからうんうんと颯太くんの言葉に何度も何度もうなずいてみせた。

「俺さ、実は総合優勝したらやろうと思ってることがあって。だから余計勝ちたいんだよね」

そう言うと、二個目のたこ焼きを口にいれた。もぐもぐと食べる横顔が可愛くて、思わず笑みがうかんでしまう。わたしはお姉さんのような気持ちになる。