「たこ焼きでやけどしたことあって、それ以来トラウマ」
「大げさだなあ」
もう八時を過ぎているのに、夏至が近いこの時期は夜でもなんとなく空気が明るくて、人通りもまだ多い。それほど暑いわけでもないのに、街の空気や夜空の色が夏の気配をかもしだしている。そのせいか疲れているのに、なぜだか心がうきうきと高揚していた。体育祭の準備で疲れ果てたあとに、友達と食べる大好きなたこ焼き。わたしのいままでの人生にはなかった青春ぽいシチュエーションが、じつは嬉しかったりする。
思わず顔がほころんでしまうわたしを見て、好物のたこ焼きを食べているせいだと思ったのか、颯太くんが自分の分を差し出してくれる。
「いいよ、こっちも食べて」
「じゃあ、遠慮なく」と『キムたこ』をひとつ串にさして、ひと口で頬張った。
ほどよい辛みと白菜キムチのシャキシャキの食感がアクセントになっていて、『キムたこ』も私の好きなフレーバーなのだ。
「すげえな」
「だって、たこ焼きはあつあつじゃなくちゃ!」
それでもやっぱり熱いのは熱いから、涙目になっているわたしを、半分あきれた顔で見ている颯太くんは、自分のたこ焼きがちゃんとさめるまで、ひたすら待つつもりらしかった。
「まあ、いいよ。食べろ。、食べろ。衣装係、がんばってるもんな」
「颯太くんだって、がんばってる」
「まあ、それは団長だから」
当たり前だろ、という口調で言う颯太くんに、わたしはさっきの渡辺さんの言葉を思い出した。
「渡辺さんが心配してた。悩んでるみたいだけど、話してくれないって」
「え? マジで?」
驚いた顔をして、颯太くんは黙り込んだ。わたしは少し焦った。余計なことを言ってしまったのかもしれない。
「大げさだなあ」
もう八時を過ぎているのに、夏至が近いこの時期は夜でもなんとなく空気が明るくて、人通りもまだ多い。それほど暑いわけでもないのに、街の空気や夜空の色が夏の気配をかもしだしている。そのせいか疲れているのに、なぜだか心がうきうきと高揚していた。体育祭の準備で疲れ果てたあとに、友達と食べる大好きなたこ焼き。わたしのいままでの人生にはなかった青春ぽいシチュエーションが、じつは嬉しかったりする。
思わず顔がほころんでしまうわたしを見て、好物のたこ焼きを食べているせいだと思ったのか、颯太くんが自分の分を差し出してくれる。
「いいよ、こっちも食べて」
「じゃあ、遠慮なく」と『キムたこ』をひとつ串にさして、ひと口で頬張った。
ほどよい辛みと白菜キムチのシャキシャキの食感がアクセントになっていて、『キムたこ』も私の好きなフレーバーなのだ。
「すげえな」
「だって、たこ焼きはあつあつじゃなくちゃ!」
それでもやっぱり熱いのは熱いから、涙目になっているわたしを、半分あきれた顔で見ている颯太くんは、自分のたこ焼きがちゃんとさめるまで、ひたすら待つつもりらしかった。
「まあ、いいよ。食べろ。、食べろ。衣装係、がんばってるもんな」
「颯太くんだって、がんばってる」
「まあ、それは団長だから」
当たり前だろ、という口調で言う颯太くんに、わたしはさっきの渡辺さんの言葉を思い出した。
「渡辺さんが心配してた。悩んでるみたいだけど、話してくれないって」
「え? マジで?」
驚いた顔をして、颯太くんは黙り込んだ。わたしは少し焦った。余計なことを言ってしまったのかもしれない。