それから三十分後、わたしは『たこ鉄』の近くにある公園のベンチで颯太くんが買ってくれたたこ焼きに歓声をあげていた。

わたしには『チーたこ』、颯太くんはキムチが入った『キムたこ』。できたてのたこ焼きの上では鰹節がゆらゆらゆれて、湯気があがっている。

できたての一番おいしいやつだ! わたしは手を合わせた。

「いただきます!」

そう言って、チーたこをひと口でほおばると、颯太くんが隣でぎょっとした。

「ひと口でいくかー? あついだろ」

やけどしかねない熱さに、涙目になりながらも、わたしは親指をたてて、おいしい! を表現してみせた。
できたてのたこ焼きは確かに熱くて、しかも噛むとチーズがとろけてでてくる『チーたこ』の熱さは半端じゃない。でも、わたしはそれをはふはふ言いながら食べるのが好きだった。

声もだせずに、『チーたこ』と格闘しているわたしを尻目に颯太くんはくどいほど串に刺したたこ焼きに息を吹きかけ、唇で温度を確かめ、それでもなかなか口にできないでいた。

「颯太くん、たこ焼き冷めちゃうよ」

「冷ましてんだよ、俺、猫舌だからさ、こういうの苦手なんだよ」

「えー」

意外とかわいいところがあるんだなっておかしくなった。