「ここ片付けなきゃいけないから、颯太くん、先に帰って」
「そっか、行かないか」
「……」
「ふーん」と意味ありげにあいづちをうった颯太くんが、ひとり言のようにつぶやいた。
「おれ、『たこ鉄』のクーポン持ってんだよな……」
「え?」
その言葉にわたしは思わず、颯太くんのほうを振り向いた。
『たこ鉄』はわたしが大好きなたこ焼きやさんだ。颯太くんが『たこ鉄』と口にしたとたん、口の中が『たこ鉄』のあのこくのあるソースの味でいっぱいになった。
そんなわたしを見て、颯太くんがにやりと笑った。
わたしははっとしてあわてて向き直り、体勢を立て直し、片付けを始めた。
すると、颯太くんがわざとさっきより大きな声で言った。
「チーたこ、食べに行っちゃおうかな……」
『チーたこ』は、たこ焼きの中にモツァレラチーズが入った『たこ鉄』で一番人気のフレーバーたこ焼きだ。「わたしもそれ好き!」と言いたいのをぐっとこらえて、片付けを続けていたら、さっきより大きな音でお腹がなった。
ああ、どうしてお腹が鳴るのってコントロールできないんだろう。
お腹をおさえてため息をつくと、颯太くんがこらえられないという顔で吹き出した。
「早く片付けて、行くぞ、『たこ鉄』」
もうわたしに抵抗するパワーは残っていなかった。
「そっか、行かないか」
「……」
「ふーん」と意味ありげにあいづちをうった颯太くんが、ひとり言のようにつぶやいた。
「おれ、『たこ鉄』のクーポン持ってんだよな……」
「え?」
その言葉にわたしは思わず、颯太くんのほうを振り向いた。
『たこ鉄』はわたしが大好きなたこ焼きやさんだ。颯太くんが『たこ鉄』と口にしたとたん、口の中が『たこ鉄』のあのこくのあるソースの味でいっぱいになった。
そんなわたしを見て、颯太くんがにやりと笑った。
わたしははっとしてあわてて向き直り、体勢を立て直し、片付けを始めた。
すると、颯太くんがわざとさっきより大きな声で言った。
「チーたこ、食べに行っちゃおうかな……」
『チーたこ』は、たこ焼きの中にモツァレラチーズが入った『たこ鉄』で一番人気のフレーバーたこ焼きだ。「わたしもそれ好き!」と言いたいのをぐっとこらえて、片付けを続けていたら、さっきより大きな音でお腹がなった。
ああ、どうしてお腹が鳴るのってコントロールできないんだろう。
お腹をおさえてため息をつくと、颯太くんがこらえられないという顔で吹き出した。
「早く片付けて、行くぞ、『たこ鉄』」
もうわたしに抵抗するパワーは残っていなかった。