『……もしもし』

 気まずそうな声でえれながでた。わたしはあえて怒った声を出した。

「もしもし?」

『はい』

「なんなの、いきなり」

さすがのえれなもばつが悪そうだった。

『ごめん……急に。どうしても気になっちゃって』

「……なんでそんなこと」

『だって、今日もお昼休み、一緒にいたでしょ。五時間目がはじまるとき、ふたりで戻ってきたし、なんかむちゃくちゃいい雰囲気だったよ』

確かにあのときは楽しかったけど、でもそれはあくまでもただの友達として、仲間としての感情だ。

「理緒、すごい笑ってた」

「笑ってた?」

「うん。理緒のあんな笑顔見たの久しぶり」

 そんなに笑ってたかな。
 そんなにいつもと違ってたかな。

「最近しょっちゅうふたりで話してるし。なんかふたりとも楽しそうで、入り込めないって感じがして……」

えれなはいつも通りに明るく話してるけど、その声に不安が混じっているのがわかった。