「それな。ほら、握りこぶしだとさ、いかにも応援団でありがちじゃん」

「うん」

「あと、ちゃんと意味もある振りなんだよ。わかる?」

わたしは少しだけ考えて言った。

「目指せ一番、みたいな?」

颯太君はあははっと笑う。

「もちろん、それもある。でも、おれたちは応援団だから、一番になることだけが大事じゃないわけ」
わたしは意外な颯太くんの言葉に少し驚いた。
颯太くんはわたしの目の前に人差し指を立てると言った。

「これは、ひとつになろうってこと」 

その言葉にわたしははっとした。

「青軍全員が心をひとつにして、がんばろうぜって。負けてたとしても、まあ、びりだったとしても、みんなでひとつになって最後までやりぬくってことが大事なんだって意味」

なんていうか、わたしは少し感動してしまった。普段、ちゃらちゃらしていて、一生懸命って言葉が全然似合わなくて、応援団だって目立ちたくてやってるのかなって思ってた颯太くんが、そんなことを考えていたなんて。

「へー………」

わたしは目の前の颯太くんの指を見つめた。

「どう? いいだろ? 見直した?」

照れ隠しなのかそんな風に茶化して言ってくる颯太くんだったけど、わたしはついその指に見とれてしまっていた。

やっぱり颯太くん、思ったとおり手が大きい。

……そしてすごくきれいな指をしてる。

じっとその手を見ていたら、アイディアがひらめいた。

わたしは颯太くんの手をつかみ、上にかかげた。