しばらく見ていて、ああ、と思う。颯太くんはみんなより腕が長いんだ。そして、手も大きい。だから、同じ振りをしていても、動きがみんなよりダイナミックに見える。

そして、誰よりも集中して踊っているのに、周りがよく見えていて、すこしでも振りが曖昧になっている団員がいるとすかさず声をかけたり、音楽をとめて振りの確認をする。

注意するときも「もう少し早めに次の動きにいける?」とか、「いまのよかったから、リズム忘れないで」って、絶対に否定的な言い方をしない。いくら団長とはいえ、指導したり注意するのって、すごく難しいことだと思うけど、颯太くんは場の雰囲気を悪くしないやり方が自然にできる人なんだなって思った。

練習するうちに暑くなったのか、颯太くんは話をしながら、シャツの袖をまくりあげた。華奢にみえるのに、意外と筋張った男らしい腕が露になって、ドキッとしてしまう。

そこまで考えてわたしははっとした、颯太くんにみとれてる場合じゃない。


撮影しなきゃ。みんなお弁当もそこそこに練習してるのに。

自分で自分が恥ずかしくなって、こそこそと撮影を始めた。

練習を終えた颯太くんが、わたしに気づいた。