真剣に振りの練習をする姿を見ながら、わたしはしみじみそう思った。

ピンチも逃げに走らず受け止めて、前よりいいものにしてしまった。わたしがぐずぐずと悩んでいる間に、颯太くんはどんどん前にすすんでしまっている。

すごいなあ…、気持ちが強いんだな。根っからポジティブなんだろうな。

わたしは尊敬に似た気持ちを抱いていた。最初の印象は決してよくなかった颯太くんだけど、衣装係になって近くで過ごすことが増えたら、その優しさや、意外なほどのまじめさ、そして細やかな気遣いがある人だと気づいて、その印象はだいぶ変化していた。

それに…、応援団のみんなの中にいても颯太くんは群を抜いて目立つ。
それぞれみんな、そこそこかっこいい子たちなのに、颯太くんが動きだすとそこだけ空気感が変わって、目が離せなくなる。

いったい何が違うんだろう。

その理由が知りたくて、わたしはじっと颯太くんを見つめた。