それから数日後。

Tシャツにプリントする写真は、まだ決められずにいた。前に撮った練習風景も悪くなくて、最初に考えていた通り、それをコラージュしてしまえばいいかもとも思ったけれど、やっぱりなにか物足りない思いは消えなくて、まだぐずぐず迷っていた。

昼休み、わたしは屋上で練習している応援団を見に行ってみた。

うちの学校の近くには高い建物がないから、屋上からは街なみが一望できる。視界を遮るものがないひろびろとした場所で、真っ青な空をバックに、演舞の練習をする応援団の姿は、いかにも青春という感じで、女子から人気がでるのも分かる気がした。

スマホを取り出し、どう撮影しようか考えながら様子を見ていたわたしは、あれ? と思った。

振り付けが少し変わっている。

手の動きに変化がついていた。音楽に合わせて、5からカウントダウンするときは、もちろん指も一緒にカウントを表現する。親指をつきたてて「いいね」というかのようなポーズ、青軍の生徒や観客に盛り上がってほしいところは人差し指をぐるぐる回したり、「ラララ」と一緒に合唱するようなところでは親指と人差し指を「L」の形にして大きくスイングしたり。

ちょっとした手話のように、手と指をたくさん使って、青軍の生徒たちと応援団が一体化しやすそうな振りつけになっていた。

「すごくいい……」

わたしは思わずつぶやいた。扇子という小道具がなくなった分、自分たちの身体をつかってメッセージを伝えることに重きを置いた振りつけに変えたことが、プラスになっていた。
颯太くんはさすがだな。