衣装づくりの準備をすすめていくなかで、問題が起きた。

Tシャツを写真プリントにすると、予算を大幅にオーバーしてしまうことがわかったのだ。

体育祭のTシャツを一手に引き受けている業者からの、見積もりを見たわたしは頭を抱えた。

一色でロゴやイラストをプリントするより高くなるだろうとは思っていたけど、まさかここまで予算をオーバーしてしまうとは……。 

衣装にかけられる予算は、みんな一律で同じ額を学校から提示されている。同じ青軍の生徒たちにカンパをつのるとか、応援団と衣装係でお金を出し合って補填するということは、絶対に禁止だと言われている。

いまのところ、何にいくらかかるのか、かかっているのかを表にして、颯太くんに相談してみた。

「うわー、そうだよな、予算な」

プリントアウトした表を見て颯太くんが頭を抱えた。

「写真プリントが想像以上に高くて」

「これ、もうまけてくれないのかな」

「交渉して、これでも少し安くしてくれたの」

練習で大変な颯太くんに、さらに心配ごとを増やしてしまうことが申し訳なくて、わたしは小さな声になってしまう。

「そっかあ……」

はちまきも颯太くんの希望で、普通より長いはちまきになっている。頭のうしろで結んでもまだまだ腰くらいまで垂れ下がるように、という希望にこたえて、二メートル以上の長さがある。コットンよりサテン地のほうが値段が高いため、材料代も例年より高くなってしまっていた。

「Tシャツ、やっぱりロゴとかのプリントにする?」

わたしはそうたずねた。無理してわたしの写真を使う理由もないし、正直どんな写真にするか迷っていて、少し煮詰まっていた。

しかし、颯太くんは首を横に振った。