わたしの心は決まった。精一杯申し訳ないという顔をして、深々と頭を下げる。

「ごめんなさい。家の門限があるので、今日は帰ります」

「そっか、残念」

言葉とは裏腹に、全然残念そうじゃなく、なんだかわたしが断るのをわかっていたような顔で渡辺さんは言った。女子の憧れの渡辺さんにお茶に誘われるなんて、滅多にない機会だとは思うけど……。

でも、やっぱりさっきのスイカジュースを今日の一番のうれしいにしたい。

そんな風にわたしは思った。