「あー!! 最高!」

わたしの様子を見て、颯太くんが吹き出した。

「おやじか!」

「え?」

「風呂上がりのビール飲んだ後のおやじみたい」

その言葉にわたしまで吹き出してしまう。あまりに嬉しくて、かっこつける余裕もなかった。

「だって!おいしいんだもん、颯太くん、ありがとう」

ついはしゃいが声が出た。慣れないリーダーの仕事をして、自分が思っている以上に緊張していたのかもしれない。思いがけないほどの開放感を感じていた。

ご褒美のような大好きなジュースでのどを潤したら、疲れ果てていた心も身体も一気に復活した気がして、わたしは最高に幸せな気分だった。

「ご機嫌だな」

「これ好きなの、ほんとに」

「そう? なんか、独特な味しない?」

「えー、おいしいじゃん!」

大好きなジュースにけちをつけられて、心外な気持ちになる。独特なんじゃなくて、この季節にしか味わえない特別な味なのに。

「まあ、好みはそれぞれだよな」

「おいしいよ!」

つい抗議の口調になってしまうわたしを、なだめるように颯太くんが笑った。