チア部の練習がない日に、家庭科室を借り切って衣装係で作業することになった。まずは単純なはちまきから始めることにする。わたしが用意しておいた型紙通りのサイズに布を切り、サテン地のほうに刺繍をして、コットンのものと縫い合わせる。これを十本分。ひとりでやると大変な作業だけど、五人でやるのだからなんとかなるだろうと思っていた。

でも、みんな慣れないミシンの係……特に刺繍の担当をすることに尻込みした。しょうがなくわたしがやることになり、サイズ通りに切られてきた布に刺繍をかけていく。最初は順調だったのだが、三枚縫ったあたりでミシンが不穏な音をたてはじめた。驚いて止めて、確認してみると、刺繍をかけた布の裏側の糸がもつれて、裏側がぐちゃぐちゃになってしまっていた。