颯太くんがイヤホンを外しながら言った。

「颯太、あんまり理緒をこきつかわないでよね」

「つかってねーし。……じゃあ、理緒よろしくな」

そういって、颯太くんは行ってしまった。その後ろ姿を見送って、えれながぽつりと言った。

「最近、仲いいよね、颯太と理緒」

「別によくないよ」

「しょっちゅうふたりで話してるじゃん」

「それは団長と衣装係のリーダーだから」

「それだけ?」

「っていうか、誰のせいでこんなことになってると思ってるの! えれなー、そろそろ働いてもらうからね!」

「あー、理緒ごめんごめん」

いつもの屈託のない笑顔に戻っていた。わたしはその笑顔を見て思った。
えれなは結構本気で、颯太くんのことを好きになっているのかもしれないって。