「Tシャツのこと以外で、なんかべつのこと」

「話してないけど……」

颯太くんもそれきり黙ってしまう。

息苦しい沈黙がわたしたちを包む。

いつもならなめらかに口から言葉が出てくる颯太くんなのに、なんだか話しづらくていらいらしているのはなんとなく伝わってくる。うまく言葉にできなくてもどかしそうなのもわかる。颯太くんはそんな自分に戸惑っているようにも見えた。

たしかに、こんなの颯太くんらしくなくて、なんだか心配になる。

どうしたの?

何が言いたいの?

わたしもどうすればいいのかわからなくて黙っていたら、颯太くんがつま先で床を蹴りながらぽつりと言った。

「衣装のこととか、なんかあったら俺に相談して」

「……」

「先輩は先輩だけど、部外者だから」

「……」

「いまの団長は俺だし」

「わかってるよ」

「…先輩、俺とちがって、大人だから頼りたくなるのかもしれないけど」

わたしははっとした。颯太くん、わたしが颯太くんじゃ物足りないと思って、渡辺さんに相談したと思ってる?