今日は日曜日だけど、応援団は颯太くんなしでいま練習している。本当なら一刻でも早く合流したかったんだろう。

とりあえずよかった。Tシャツの方向性が決まっただけでも、颯太くんの時間を無駄にしてないと思える。

すでにグレープフルーツジュースを飲み終えていたわたしも、颯太くんにあわせて立ち上がった。颯太くんはさっさとわたしの分まで、グラスや紙ナプキンをトレイにのせて片手で軽々と持ち上げる。さっき買った材料も全部持ってくれているので、申し訳なくてわたしはあわてた。

「あ、わたしがやるよ」

「いいから」

颯太くんはさっさとカウンターに運んで行ってしまう。颯太くんは明るくて楽しい男の子だけど、こんなに気のきく人なんだってちょっと驚いた。そういえば、座る席もさりげなくわたしが奥の席に座るようにしてくれた。

「あの」

ん? という顔で振り向いた颯太くんの顔を直視できず、目をそらしたまま言った。

「ありがとう」

颯太くんがふっと笑った。そしてまたあの目でわたしを見た。優しさに満ちた、まるで愛しいものを見守るようなあの目。いつもは普通に同じ年のちょっとお調子ものの男の子なのに、すごく年上の男の人に見つめられているようで、どぎまぎしてしまう。

「こちらこそ」

おどけたように颯太くんは言う。

「理緒が衣装係になってくれて、よかったよ。……あとさ、理緒……」