「いいこと思いついた」

「なに?」

「理緒の写真をプリントしようよ! 理緒、よく写真撮ってるじゃん」

あまりにも想像をこえた提案に、すぐには言葉が返せず、わたしはフリーズしてしまった。

わたしの写真? 

それを応援団のTシャツのプリントに? 

なに? どうすればいいの?

小さなパニックをおこしているわたしを面白がるように颯太くんが笑った。

「これから、応援団の練習が本格的にはじまるじゃん。そこに撮影にきてよ。おれたちの本気を撮って、Tシャツにしたらよくない?」

「あ……」

確かに写真プリントのTシャツは見たことない。応援団の練習風景を撮影して、コラージュしたらいいかもしれない。

颯太くんの言葉を聞いて、わたしにはできあがりのイメージがはっきり浮かんだ。
うん、すごくいい。

応援団の楽しい姿を撮ることができたら、一生懸命な姿をうつしとることができたら、きっと着るだけで、そして見るだけでわくわくするようなTシャツができるはず。

「………わかった。やる。撮る」

わたしが言うと颯太くんが「おお」とうれしそうに笑った。

「でもわたし、プロじゃないから、ありのまましか撮れないよ」

「ん?」

「演出とか、無理だから」

わたしがそういうと颯太くんは笑った。

「そんなこと理緒に求めてねーし。やらせ? みたいなこといらないから。ありのままの俺たち撮ってくれたら、感動もん間違いないから」

自信満々の颯太くんがおかしくて、わたしは思わず吹き出してしまった。

「よし、オッケー。じゃあ、頼んだな」

そういって颯太くんは立ち上がった。