「Tシャツをさ、かっこよくしたいんだよね。法被なしでTシャツだけでいる時間もけっこう長いから」

颯太くんは真剣だった。スマホでいろいろなTシャツの画像を検索して、見せてくれる。

「去年はイラストとか…、スローガンを英語にしたのもあったよね」

「そういうのは……なんかありきたりなんだよな」

「でも、お願いする業者さんはみんな同じところだから、あまり変わったことはできないと思うよ」

「まあね、なんかないかな……」

颯太くんはほおづえをついて、考え込んだ。わたしは引き寄せられるように、その顔を見つめた。
その前髪がつやつやと、柔らかそうで、触れたくなる。そして、その奥に見える伏し目がちの表情に引き寄せられる。

やっぱりまつげ長いんだな、瞳の色は茶色だな、そんなことを思っていたら、颯太くんが、突然がばりと顔をあげた。