わたしとは裏腹に、当然のことを言っているだけというような顔を颯太くんはしている。
「サイズ大事なんだけど……」
「わかってるよ」
わりと強引に押し切られて、結局わたしが記録係になった。
まちがった測り方をされると困るから、わたしも颯太くんの様子を注意して見ていたけど、飲み込みがいいのか颯太くんはわりと上手に測っていた。
「ほら、ちゃんと腕のばせよ」
「おまえ、無理に腹ひっこめんな」
男同士、身体にふれあうのもなんともないから、ふざけあいながらも、テンポよく採寸がすすんでいく。
わたしが思っていたよりずいぶんはやく、採寸がおわった。
「ありがと。……助かった」
すると颯太くんはふふっと笑った。わたしを見下ろすその目がまるで子供を見るような優しさに満ちていて、わたしは小さな小さな女の子になったような気持ちになる。
「だろ?」
颯太くんはそう言ってわたしにメジャーを渡すと、教室を出て行った。
それが昨日のこと。