誰もいない図書室に響くシャッターの音が心地いい。ぐっと集中してシャッターをきる。
風がやんで、風景が動きをとめたのを確認して、わたしもふーっと大きく息を吐いた。自分でも知らないうちに、息をとめてしまっていた。
「なに撮ってんの」
突然、耳元で声が聞こえ、驚いて振り向くと、目の前に男の子の横顔があった。
思わず「きゃっ」と小さな悲鳴をあげたけれど、「あ、ごめん」と、その子はたいしてあわてもせずに謝った。
距離が近すぎて、わたしはよろっと後ずさりしてしまう。
わたしの後ろからスマホをのぞきこむようにして、立っていたのは同じクラスの紺野颯太だった。動揺を隠しきれないわたしとは対照的に、紺野颯太はただただ興味津々という表情でわたしを見つめている。
「写真、好きなの?」
「…………」
どう答えていいかわからないで黙っていたら、紺野颯太は手を差し出した。
「どんなん撮ったの? 見せて」
わたしは思わずスマホを後ろ手に隠した。
「そ、そんな人に見せるような写真じゃないから…!」
なんとかそれだけ言って、わたしは彼の横をすり抜けるようにして、図書室をあとにした。
風がやんで、風景が動きをとめたのを確認して、わたしもふーっと大きく息を吐いた。自分でも知らないうちに、息をとめてしまっていた。
「なに撮ってんの」
突然、耳元で声が聞こえ、驚いて振り向くと、目の前に男の子の横顔があった。
思わず「きゃっ」と小さな悲鳴をあげたけれど、「あ、ごめん」と、その子はたいしてあわてもせずに謝った。
距離が近すぎて、わたしはよろっと後ずさりしてしまう。
わたしの後ろからスマホをのぞきこむようにして、立っていたのは同じクラスの紺野颯太だった。動揺を隠しきれないわたしとは対照的に、紺野颯太はただただ興味津々という表情でわたしを見つめている。
「写真、好きなの?」
「…………」
どう答えていいかわからないで黙っていたら、紺野颯太は手を差し出した。
「どんなん撮ったの? 見せて」
わたしは思わずスマホを後ろ手に隠した。
「そ、そんな人に見せるような写真じゃないから…!」
なんとかそれだけ言って、わたしは彼の横をすり抜けるようにして、図書室をあとにした。