校舎の中に颯太くんが消えると、わたしは図書室の入り口に向かって振り向き、窓辺によりかかった。


まず、何を話そう。

何から伝えよう。


四月から半年以上、話したかったことがたくさんある気もするし、本当に伝えたい言葉はひとつしかない気もする。


どうしようかな。

考えがまとまらないうちに、廊下の向こうからぱたぱたと騒々しくかけてくる足音が聞こえてきた。

颯太くんだ。

そのうれしい、愛しい音に、胸がいっぱいになったわたしは目を閉じ、大きく息を吸い込んだ。