「多分さ、わたしたち近すぎて、少しさぼってたんだよね、お互い。お互いわかってくれてるって、思ってた。でも、もうこんなことになるのいやだから、ちゃんと話そう。ね」

「ごめん……。ほんとにごめん……」

それしか言えず、ただ泣いているだけのわたしを、えれなはずっと抱きしめていてくれた。
わたしの背中に置かれた優しい手のぬくもりが、わたしのかたくなに凝り固まった心をやわらかく溶かしていくのがわかる。

いま、わたしの頬を濡らす涙は、さみしかったり、苦しくて流す涙ではなく、大切な人たちの愛情を知って幸せがあふれてこぼれ落ちたあたたかい涙だった。

ほんとうにほんとうに、ごめんなさい。

わたしなんていてもいなくても同じだと思っていた。

誰にも必要とされない、とるに足らない存在なんだって、ずっと自分で自分をおとしめていた。

傷つくのがこわくて、ひとりが気楽なんて言って、自分のなかに閉じこもって。 

でも全然満たされなくて、そんな自分が嫌いで、ほんとは誰かとつながりたかった。

わたしを必要として、愛してくれる人がいるのに、気づけずに、その人たちを傷つけていた。

もう、そんな自分はいやだ。

変わりたい。もっと心の奥から、大切な人たちとつながりたい。