その言葉に、わたしは自分の弱さを思い知らされた。

えれなはわたしたちの絆の強さを信じてくれてたんだね。

なのに、わたしはそれを信じられなかった。

えれなを信じられなかったのではなく、そんな風に思ってもらえるわけがないと、自分自身を信じることができなかったんだ。

「理緒も颯太のこと好きなんでしょう?」

えれなにまっすぐに見つめられ、問いかけられて、わたしはもう自分の気持ちを隠すことはできなかった。

わたしは、こくりとうなずいた。初めて颯太くんへの思いを、きちんと言葉にして口に出した。

「好き……。ほんとに、好きなの。……ごめん」

そのとき、えれなの顔が少しだけ泣きそうに歪んだ。
でも、えれなは泣かなかった。

「だったら、よかったじゃん」 

えれなはそう言ってくれた。
いろいろな思いが入り混ざっているだろうに、その気持ちにふたをして、祝福してくれた。

その時、わたしは思った。
いまだって、えれなは多分つらいのをがまんして、わたしを祝福してくれてる。
これだって自分を偽ってるってことだ。演技してるってことだ。

でも、わたしのことを大事に思ってくれてるからこその演技だ。

誰だって、他人と関わろうと思ったら、自分をおしころして、演技することがある。

でも、それは嘘じゃない。

思いやりの気持ちだ。