「理緒、ごめんね」

「え?」

「正直に言うとさ、じつはさ、わたしが理緒に怒ったのってインスタだけが原因じゃないんだよね」

わたしは驚いて、えれなを見つめた。ばつが悪そうにわたしから目をそらしたえれなは、えれなにしては珍しく歯切れの悪い口調で続けた。

「もちろんインスタ見たときもショックだったよ。一年以上、秘密にされて。しかもあんなにフォロワーがいて。3500って、すごくない? ちょっとした有名人だよ」

「そんなこと……」

「でも理緒さ、インスタのこと以外にも、わたしに黙ってることあるでしょう」

「え…………」

「ずっとわたしに隠してることがあるでしょ」

こころあたりは、もちろん、ある。

でも、まさか、えれなも気づいていたなんて。

嘘でしょう。

「颯太のことだよ。わかるよね」

わたしはうなずくことすらできなかった。

誰にも言わずに心の奥にしまいこんでいた気持ち。
自分でも見てみないふりをしてきた気持ち。

どうして? どうしてわかったの?

「……わたしさ、見ちゃったんだよね。体育祭の夜。みんなで花火したでしょ。理緒がいなくて、ひとりで片付けやってるのかもと思って探しにいったら、教室で颯太と理緒が手をつないでた」

「あれは……」

あれは手をつないでたわけじゃなくて。