えれなを自分の部屋に連れ込んだはいいけれど、なんていって話しを切り出していいのかわからずに、気まずい沈黙が流れていた。

いつもは遠慮なくわたしのベッドに転がるえれなが、ドアの前に立ったままだった。だから、わたしも座ることができなくて、少し距離を置いて立ったまま向かい合っていた。

「あの……」

えれなが「なに」というようにわたしを見た。

「スマホ……、ありがとう」

そういうと、たんたんとえれなが言った。

「きったない用水路から見つけだしたのは颯太だから、お礼は颯太に言って」

「颯太くんが……」

「もう必死で探しまわって、ズボンはもちろんだけど、ワイシャツまでドロドロだったから。あれ、洗濯しても落ちないんじゃないかな」

膝までつかってわたしのスマホを探す颯太くんの様子が浮かんだ。

昼間だって、もう寒いのに……。

風邪ひいたりしてたらどうしよう。

わたしのことなんて、もうほうっておけばいいのに。

すると、えれなが自分のスマホを取り出して、わたしに見せた。

「あと、これ」


わたしは画面を見て驚いた。

わたしのアカウント「so_little_little_star」のホーム画面が出てきた。

非公開になっているから、写真は見えないけど、アカウントは消えていなかった。

まだこの世に存在していた。