「どうして……」

「まあ、いくらかかかるだろうけど、いちから買うよりは安いって」

「どうしたの、これ…。どうしてここにあるの」

「颯太が膝まで水につかって、探し出したんだよ」

わたしは驚きのあまり声もでなかった。

「え? 颯太って誰? もしかして、うちの前まで来てたあの男の子?」

「お母さん! もういいから!」

わたしは余計なことを言うお母さんをあわてて制した。

そして、えれなの腕をつかんでひっぱった。

「ちょっとえれな、わたしの部屋で話そう。ね」

わたしのあわてふためく様子をお母さんが面白そうに見た。

「なにを動揺してるの」

「もう、いいから!」

わけがわからないという顔のお母さんをダイニングに残して、わたしはえれなを連れて二階の自分の部屋にかけこんだ。