帰ってくると、お母さんが待っていた。
「さっき家の前でもめてたでしょ」
「べつに」
「あの子、なに? 彼氏?」
「違うよ。なに言ってるの」
意味ありげな顔でにやにやしながら言う様子にかちんときて、わたしはぶっきらぼうな口調になってしまった。お母さんはそんなわたしの様子を気にも留めず、しつこく聞いてきた。
「だって理緒があんな風にけんかするの珍しいから」
「けんか?」
「あんな風に言い合いする理緒、久しぶりに見たわよ」
言い合い? わたしが? 颯太くんと?
「でも、いいじゃない。お互い言いたいことを言い合える関係って大事よ」
そういわれて、驚いた。わたしと颯太くんはそんな関係じゃない……。
そのとき、以前渡辺さんに言われた言葉を思い出した。
『友達なんだし、言いたいことを言わないと。そうやって、お互い理解していくんじゃないかな』
あのときは、そんなことできるはずないって思っただけだった。でも、颯太くんとは自然にそれができていたんだろうか。
いつも颯太くんが遠慮なくわたしの心の中をのぞこうとするから、わたしはそれを阻止しようと必死になって、つい本音を打ち明けてしまったり、反発したのに、受け入れてしまったりする。
「さっき家の前でもめてたでしょ」
「べつに」
「あの子、なに? 彼氏?」
「違うよ。なに言ってるの」
意味ありげな顔でにやにやしながら言う様子にかちんときて、わたしはぶっきらぼうな口調になってしまった。お母さんはそんなわたしの様子を気にも留めず、しつこく聞いてきた。
「だって理緒があんな風にけんかするの珍しいから」
「けんか?」
「あんな風に言い合いする理緒、久しぶりに見たわよ」
言い合い? わたしが? 颯太くんと?
「でも、いいじゃない。お互い言いたいことを言い合える関係って大事よ」
そういわれて、驚いた。わたしと颯太くんはそんな関係じゃない……。
そのとき、以前渡辺さんに言われた言葉を思い出した。
『友達なんだし、言いたいことを言わないと。そうやって、お互い理解していくんじゃないかな』
あのときは、そんなことできるはずないって思っただけだった。でも、颯太くんとは自然にそれができていたんだろうか。
いつも颯太くんが遠慮なくわたしの心の中をのぞこうとするから、わたしはそれを阻止しようと必死になって、つい本音を打ち明けてしまったり、反発したのに、受け入れてしまったりする。