走りながら、わたしは泣いていた。

結局、消えてしまったわたしのインスタグラム。
一年間綴り続けたわたしの心。

颯太くんの言ってることは正しい。

わたしは本当の意味でひとりになることがこわくて、あのインスタをはじめた。

誰かとつながりたくて、わたしの気持ちを理解してほしくて、あのインスタをはじめたんだ。

でもインスタグラムでフォロワーがたくさんいても、どんなにたくさんの「いいね」をもらっても、それは人間関係を築いていることにはならない。

写真集を出そうと言われたとき、心のすみで、これで学校やえれなにもばれてしまうと思わなかったわけじゃない。もしかしたら、心のどこかでもうばれてもいいと思っていた気がする。

フォロワーの数が増えたところで、本当の意味では心は満たされなかった。
でもたくさんの人に支持されて、出版社の人にまで認めてもらえたという事実が、わたしに付加価値をつけてくれるんじゃないかなんて都合のいいことを心の片隅で考えなかったといったら嘘になる。
学校のみんなからも、えれなの付属物としてじゃなく、認めてもらえるんじゃないかなんて、甘い期待も抱いてたかもしれない。

でも、結果、えれなを傷つけ、怒らせ、長い間かけて築いてきた信頼関係をこわしただけだった。
そして、わたしは居場所を失った。

わたしが悪いんだ。本当なら、もっとえれなに自分の気持ちをぶつければよかったんだ。
子供のころはえれなともよくけんかした気がする。
つまらないことでけんかして、泣かせてしまったり、泣いちゃったりして、それでもまた一緒に遊んで……ってその繰り返しだった気がする。

いつからそのことを怖がるようになったんだろう。

ぶつかることをしないで、摩擦を避けて、おいしいところだけを味わおうとした。
だから、罰があったのだと、もう何回も思ったその言葉をまた繰り返し思った。