「じゃあ、理緒、ここは俺からも頼む! 理緒のセンスが必要だ! 衣装係のリーダーやってくれ!」
わたしに向かって颯太くんが手を合わせた。えれなも甘えた声をはりあげる。
「理緒、お願い!」
クラスの人気者、颯太くんとえれなにお願いされ、みんなに注目されてしまい、わたしはもはやうなずくことしかできなかった。みんなが拍手してくれたけれど、わたしはみんなが厄介ごとを片付けて喜んでいるだけとしか思えなくて、なんだか泣きそうだった。
「おまえら絶対理緒だけに押し付けるなよ! 一人で背負いきれるようなものじゃないんだから。ちゃんとやれよ!」
心細そうなわたしを見かねたのか、颯太くんがそう言って念を押してくれた。でも、わたしはこれからのことを思うと不安しかなかった。