「理緒……」

颯太くんは少し息切れしながら、わたしを見つめた。わたしは目をそらす。

「姉ちゃんが、全部話したって、昨日……」

わたしはなにもこたえなかった。

どうこたえていいか、わからない。

どんな顔をして、颯太くんを見ていいかわからない。

「理緒、驚いたよな。ごめん。俺、ずっと理緒のインスタ見てたんだ」

わたしは目を閉じた。

もう覚悟していたことだったけど、本人に言われてしまうと、感じていた恥ずかしさが倍増した。

「姉ちゃんが、仕事で女子高生インスタグラマー探してるってきいて、理緒のアカウント教えたのも俺。
だってさ、理緒のインスタむちゃくちゃいいじゃん。もっといろんな人に見てもらえたら、いいんじゃないかなって思っちゃってさ。それで……」

「いつ気づいたの?」

「え?」

「ステラがわたしだって、いつ気づいた?」

「あ……、四月に図書室で理緒がスマホで校庭の写真撮ってて」

はじめて颯太くんと言葉を交わした日だ。

「おれ、たまたま後ろからその写真見てて、あ、うまいなって普通に思ってたんだ」

「…………」