それをすべて削除してしまうなんて………、

思わずスマホを抱きしめてしまう。


わたしには、できない。

「どうして……」

わたしは苦しかった。

こんな状況になってまで、どうしてこんなにわたしは自分勝手なんだろう。

そんなに自分が大事なの? 

あんなに人を傷つけて、それでも自分が傷つくことはいやだなんて、都合がよすぎることくらいわかってるのに。

どうしてわたしはこんな人間なんだろう。
自分のことにばかり繊細で身勝手で。

こんなわたし、誰にも愛されるはずがない。

この状況で本当の意味で相談できる人がいない事実がすべてをものがたっている。

もう、わたしが、わたし自身がこの世界から消えてしまいたい。

わたしは崩れ落ちるようにしゃがみこむと、膝に顔をうずめて泣いた。


そこにはあたたかい手で背中を撫でてくれる人も、やさしく手を差し伸べてくれる人も、誰もいなかった。