「全部わたしが悪いんです。わたしがえれなに秘密なんてつくるから……」

「うーん、ぼくにはよくわからないけど、友達に教えないでインスタグラムをやることがそんなにダメなことなのかな」

「……多分、わたしが同じことをされていても、傷ついたと思います」

「そっか」

「このうえ写真集なんて出したら、もうすべて終わりのような気がします。えれなに一生許してもらえない気がするんです」

渡辺さんは腕を組んで、うーんとうなった。

「えっと…確認なんだけど、理緒ちゃんは将来カメラマンになりたいの?」

「まさかまさか。全然、そういうんじゃないです」

「そっか。だったら、写真集の話が将来へのすごいチャンスってことではないよね」

「はい。それは全然……。ただ、なんか世界が広がるかなって、そう思っただけで。それに編集の人もすごく熱心に言ってくれるし」

「まあ、大人はね、勝手なこと言うよね。ビジネスだから、理緒ちゃんの立場とか気持ちより、別なことを優先するよね」

渡辺さんにそう言われて、わたしは少し悲しくなった。

そっか……そうだよね、横澤さんがあんなに熱心なのも、わたしが断っても引き下がらないでいてくれるのも、仕事だからだ。

もう決まっていることをくつがえすのが大変だからなのだろう。

「写真集をだすってすごくかっこいいと思うけど、そうなったとき理緒ちゃんの周りで、何がおこるか僕には想像もつかないよ」

渡辺さんの言葉にわたしはうなずいた。