それから数日たっても事態は特にかわらなかった。
わたしは学校に行ったり、休んだりを繰り返す日々だった。

その日は、学校に行ったものの、なんにもやる気になれなくて、体育の時間に早退してしまった。
あまり早い時間に家に帰ると、お母さんに心配されてしまうから、どこかで時間をつぶそうと、ショッピングモールをぷらぷらしていた。

本屋さんにでも行こうかなと思ったとき、肩を叩かれた。

「久しぶりだね、元気?」

そこにいたのは、渡辺さんだった。

体育祭の閉会式の後に会って話しをして以来だから、三ヶ月ぶりくらいの再会だった。

「ずいぶん早い時間にいるんだね。学校は? どうした?」

そう言われて、どきっとした。渡辺さんに学校に連れ戻されるんじゃないかという不安がめばえて、思わず逃げようとした。

そんなわたしの腕を渡辺さんがぎゅっとつかんだ。

「渡辺さん……」

「まさか、さぼり? 理緒ちゃんらしくないね」

「……」

渡辺さんが心配そうにわたしの顔をのぞきこんだ。

「理緒ちゃん、いま学校で大変なんだって? ちょっとだけ噂きいたんだ」

「あ……」

「女子高生インスタグラマーとして人気者らしいって話も聞いたよ。すごいね、写真撮るの上手だったもんね」

わたしは何も言わずに、ただ首を横に振った。
インスタグラムのことをほめられると、罪悪感しかわかない。

そんなわたしを渡辺さんは心配そうに見て、お茶にさそってくれた。