はしを持ったまま、ぼんやりしていた。

突然寒気がして、ぶるっと震えた。

ふと、気がつくとあたりがうっすら濡れている。


雨だ。

秋らしい霧雨が音もなく降り出していた。
いつのまにか髪の毛もしっとり濡れている。
立ち上がろうとしたけれど、冷えた身体は動こうとするとみしっと音をたててきしんだ。

よろめいて、コンクリートの床に手をつく。
その自分の姿があまりにもみじめで、滑稽なほどだった。

やっぱり、罰だ。罰ががあたったんだとそう思った。

「もうやだな………」

やりきれなくて思わずつぶやいた。もうすべてがどうでもよかった。

自分も、学校もインスタグラムも。

もう全部どうなってもいい。

何もかもをすべて投げ出して、どこか誰も知らない場所へ逃げてしまいたかった。