「さあ、次! 衣装係やる女子いない?」

先ほどまでのにぎやかさが嘘のように、女子達が口をつぐんだ。

「衣装係の主な仕事は……えーーっと、応援団が使う身につける法被やTシャツ、はちまきや扇子などの小道具、さらに横断幕や軍旗の作成!」

颯太くんがプリントを読み上げる。

「うーん、これは大変だ。でも、応援団と仲良くなれるよ?」

わざとおどけて颯太くんは言うけど、女子たちからは苦笑いがもれた。

たしかに、応援団のメンバーと衣装係の女の子がカップルになる確立が高いのは、みんな知ってる事実。でも、だからといって、この大変な仕事を簡単に引き受ける女子はなかなかいない。

学校の授業や部活なんかも普通にあるから、一ヶ月半ですべて作るのはなかなか大変で、毎年衣装係はてんてこまいなのも、よく聞く話だった。

場合によっては、体育祭前の数日はほぼ徹夜になるなんて話も聞く。

しかも、応援団のように前に出るわけではなく、あくまでも縁の下の力持ちという存在なので、例年誰もやりたがらないのだった。

そのとき、えれなが手をあげた。

「わたしやろっか?」