もっと違う答え方もできた。

「そうだよー、驚いた? じつはこれわたしなんだ」
と、軽く受け流すように答えたってよかった。

それなのに、わたしの口から出たのは謝罪の言葉だった。
えれなはそれを聞いて、顔をゆがめた。

「やっぱり……」

「えれな……」

「どうしてインスタやってるって教えてくれなかったの?」

「……それは」

「っていうか、わたし前に一緒にやろうって言ったよね! わたしが始めたとき。あのとき、理緒はわたしはいいやって言ってたけど、これ見たら、その時もう始めてるよね?」

そう、去年のチア部の秋の大会のころ、えれなは練習の様子や大会の結果を残しておきたいと言って、部のみんなとインスタをやりだした。そして、いつものようにえれなはわたしも誘ってくれた。

でも、わたしはよくわからないからと言って断ってしまっていた。
アカウントをふたつ持つ気にはなれなかったし、このアカウントをみんなに教える気もなかった。

「どうしてあのとき、教えてくれなかったの?」

「えれな」

「わたしには見られたくなかったの?」

「違うの、そうじゃなくて」

「なんなの? 説明してよ!」

えれなの目には涙が浮かんでいた。
いままでもささいなけんかをしたことはあったけれど、こんな風に苦しげに顔を歪ませるえれなを見るのは初めてだった。

「このインスタはわたしの自己満足みたいなもので、誰かに見てほしくてやってたわけじゃないの。自分の好きな写真をポストして、自分のアルバムみたいにできればそれでいいかなって、それだけなの」