四月も終わりに近づいたころ、六月に行われる体育祭の係決めが行われた。

うちの高校の体育祭は一年生から三年生まで、縦割りで四つの軍にわけて競い合うのだけれど、なかでも名物になっているのが応援団だ。

受験を控える三年生をのぞく、一年生と二年生のなかから男子のみ各学年五人ずつ、計十人で結成される。立候補というよりは推薦で選ばれることが多く、結果的に人気者が集められるので、その注目度も高い。最初から最後まで、応援に競技に奔走する応援団の姿は、いつみてもさわやかで凛々しくて、他校の女子たちまでもうちの体育祭を見にくるほど花形なのだ。

うちのクラスからはまず一番に颯太くんが選ばれた。颯太くんは「よっしゃ」とガッツポーズを作ると、「おれ、団長やるから!」と自ら志願した。

人気者のやる気っぷりに、みんながいやおうなく盛り上がる。

颯太くん以外に選ばれた四人も、それぞれ運動部で活躍する男子たちだ。彼らはもともと目立つうえに、応援団をやるとさらに二割増しかっこよくみえる。体育祭のあとにカップルがたくさん生まれるのが、うちの高校の伝統みたいになっていた。

きっとみんな夏休み前には彼女ができてるんだろうな……、わたしはそう思いながら成り行きをみていた。

運動は得意じゃないし、みんなの足をひっぱりたくないから、体育祭は気分の重い行事だ。できるだけ競技にでたくないし、ほんとうは当日休みたいくらい……、そんなことを考えていたら、団長になった颯太くんが声をあげた。