その夜、お風呂に入ったあと、わたしは擦った傷に絆創膏をはりながら考えていた。

「いつもありがとう」

颯太くんとの別れ際、わたしは確かにそう言った。

なんで「いつも」なんて、言ってしまったんだろう。

そして、今までのことを思い返した。

颯太くんと一緒に過ごした時間。

颯太くんがわたしにしてくれたこと。

図書館で颯太くんと出会ってから、今日まですべての出来事をひとつひとつ思い出してみる。

季節限定のすいかジュース、大好きなたこ鉄、あんず飴、わたし好みの水風船、ひとり泣いてしまった体育祭の夜、偶然出会ったショッピングモールや図書館、そして今日……、

寂しいときや大変な時には必ず現れて、そばにいてくれる颯太くん……。

わたしの好きなものをよくわかっていて、励ましの言葉と一緒に与えてくれる人……。


考えてみればみるほど、不自然だった。

偶然が多すぎる。


最初はえれなと一緒にいるせいで、惹かれ合うふたりの吸引力が偶然を引き寄せるのかと思っていた。

でも、最近はちがう。わたしひとりでいるときに、颯太くんはふらりと現れる。


どうして? なんで?


いままでのことはすべて偶然なの?


それとも…………。