颯太くんに手を貸してもらいながら、立ち上がると、やっぱりというか意外にというかわたしの身体は土まみれだった。

「なんだよもう、こんなに汚して……」

颯太くんまで笑っていた。

ふたりでぱたぱたとわたしの身体についた汚れをはらう。

「でも、思ったより飛べたね」

「何いってんだよ、むっちゃころころって転がってたぜ」

「ほんと? 見たかった」

「死んだと思った、理緒」

「でも死んでないし、けがも大してしてない」

わたしはつぶやいた。

「意外と大丈夫かも、わたし」

「え?」

颯太くんがよくわからないという顔でわたしを見たけど、わたしは笑ってはぐらかした。

久しぶりのブランコと、笑い過ぎのせいで、歩いててもなんだかヨロヨロしてしまう。
でも、気持ちはものすごくすっきりしていた。

自転車で来ていた颯太くんが、後ろに乗せてくれて家まで送ってくれた。

後ろに乗ったわたしはふと公園を見て思った。自転車から、中なんて全然見えない。颯太くん、どうしてわたしがいるって気づいたんだろう……。

そんな疑問も、颯太くんがわざと蛇行運転するから、またわたしはきゃーきゃー言うことになって、すっかり頭から消えてしまった。

うちについて、自転車からおりると、自然に言葉が出た。

「いつもありがとう」

その言葉にわれながら驚いた。

颯太くんも「なんだよ、素直だな」なんて照れて帰っていった。