「理緒には理緒の世界があるんだよな」

「……」

「それはわかってるんだ。踏み込まれたくないのも、わかってる」

「颯太くん……」

「でも。それをさ、おれにも少しわけてくれたら、うれしい!」

そういいながら足に力をこめるから、ブランコがより大きくスイングして、わたしはふたたびきゃーと叫んだ。

「颯太くん!」

「なに!」

わたしは大きな声で聞いた。

「ほんとにそう思う?」

「なにが!」

「わけてくれたらうれしいって」

「思うよ。知りたいってさっきから言ってるじゃん!」

また颯太くんが足に力をこめるから、よりブランコが高くまであがって、わたしの悲鳴もとまらなくなった。

颯太くんが笑いながら、ブランコをこぐ。
わたしはもうやめてー、ほんともうむりーと大きな声で叫んでいたら、なんだか心が軽くなった気がした。

ずっと自分の世界を守ってきた。嫌われたくないから。傷つきたくないから。

でも、わたしの心のうちを表現したことに「いいね」と言ってくれる人がたくさんいて、表現していない心のうちを「知りたい」と言ってくれる近い人がいる。


それに応えたい。


こわがらないで、踏み出してみようか。


わたしの居場所を私自身の力で作ることができるかもしれない。


わたしはまた叫んだ。