「あ、ごめん。へんなこと言って。気にしないで、忘れて」

 とたんに颯太くんが笑い出した。

「理緒……、全然つまんなくないから。っていうか、おもしろいよ」

「……」

面白いって前も言われた気がする。あんまりうれしくないけど。

「理緒はあんまりしゃべんないけどさ。でも、見てたらいつもなんかひとりでやってるじゃん」

「え」

「写真撮るのもそうだけど、ひとりでなんかじっと見てたり、探してたり、考えてたり。いつもひとりでなんかしてんだよ」

そんなこと当たり前じゃないかな、特に変わったことじゃない気がするけど……。

「考えるのは、誰でもしてるでしょ、ふつうに」

「いや、俺はそうでもない。ひとりでいるときはぼーっとしてるし、考えてるとしても、腹減ったなーとか、なんか眠いなーとかそれくらい」

「あはは」

「でも、理緒はそういうのと違う。理緒はさ、なんかいっつも真剣に考えこんでる」

「えー?」

「だからさ、何考えてんのかなとか、何見てんのかなとかすごく思うわけ。でもよくわかんないからさ、知りたくなって、ついちょっかいだす」

「……」

「で、嫌がられる」

わたしは思わず笑ってしまう。

「べつに嫌がってないよ」

言いながら、そっか…そんな風に見えてるんだと思った。

わたしが黙っていると、おもむろに颯太くんが立ち上がった。そして、わたしの後ろに来ると、無理矢理ブランコの端っこに足を乗せた。

子供のころによくやった、ブランコのふたり乗りの体勢だ。