わたしは夕暮れのなか、散歩にでた。
家のなかでひとりで考えていると、暗いことばかり思い浮かべてしまう。
歩いて身体を動かしながら、考え事をしたほうがポジティブな姿勢で向き合うことができる。そんなわたしが、考えごとをするときに、いつも行く場所があった。
それは通学路の途中にある大きな公園で、昼間は赤ちゃん連れのママたちや、小学生の子供達でにぎわっているのだけれど、夏とはいえ六時を過ぎると人気がなくなる。
まだ完全に日が沈むまでには少し間があった。蝉がどこかでうるさいほど鳴いている。まだまだ暑い日が続いていたけれど、意外と夕方になると涼しい風が吹くようになっていて、夏が過ぎていく気配があった
ああ、もうすぐ夏休みが終わる。
時間はどんどん流れていき、わたしがどんなに悩んだり迷ったりしても待ってはくれない。立ち止まって考え込んでばかりのわたしは、流れていくすべてのスピードについていけず、いつも置いてきぼりにされているような気がする。
ふと見るとあたりを満たしていたオレンジ色の光がじょじょにグレーを帯びてきて、街灯がついた。
あたりの暗闇が少しずつ濃くなっていく。