女子高生のインスタグラマーが物珍しくて、横澤さんたちもかいかぶってるけど、実際出版して全然売れなかったら、誰が責任をとるんだろう。

横澤さん、いまはとっても優しいけど、思うような結果がでなかったら、意地悪な人になって嫌みとか言いだしたりしたら、どうしよう……。

考えれば考えるほど、わたしは怖くなった。図にのって、この話を受けたらすごく後悔することになるとしか思えなかった。

わたしなんかが、そんなだいそれたことをしちゃいけない。

そう思ったわたしは、ベッドから出てすぐに横澤さんにメールを送った。


「さきほどのお話なんですが、わたしには無理じゃないかと思います。せっかく声をかけてくださったのですが、お断りさせてください」


メールを送ってほっとしたのもつかのま、すぐに横澤さんから返信がきた。


「あまり焦って答えを出さないで。一度きちんと会ってお話しましょう。もし不安なようだったら、ぜひご両親も同席いただければと思います。編集長からきちんとご説明させていただきます。とにかく宮下さんも焦らず、ゆっくり考えてください。また、こちらから連絡しますね」


口調は丁寧だけど、いやとは言わせない圧力を感じた。
やっぱり社会人はちょっとちがう……、わたしは重い重い荷物を背負ってしまった気がして、がっくりと肩をおとした。