まだ発売まで間があるというのに、すでに緊張感でいっぱいのわたしに横澤さんは、さらに衝撃的なことを言いだした。
「でね、宮下さん。編集長が一度会いたがってるの。夏休み中にもう一度、編集部に遊びに来てくれないかしら」
「編集長……、そんなえらい人がなんで……」
戸惑うわたしに、横澤さんがずばりと言った。
「あのね、宮下さん、あなたのインスタグラムを写真集にしないかって話が出てるの」
「え?」
「写真集って言っても、タレントの写真集みたいに大きなやつじゃなくてね、文庫本くらいのサイズで小さなものにする予定なの。じつは宮下さん以外の人にも声をかけててね。女子高生のインスタグラマーの写真集を毎月出して、シリーズみたいにできないかって企画があるのよ」
写真集? わたしの写真で?
一冊丸ごとわたしの写真だけっていうこと?
そんなものを誰が買うんだろう……。
いろんな思いが浮かんできて、すぐには整理がつかない。