たくさんの言葉を並べなくても、気持ちを表現することができる場所。
演じたり、ふりをしたりしなくても、ありのままのわたしでいることを許してくれる場所。
わたしの気持ちに共感してくれる人たちだけが集まってくれている場所。
インスタグラムのあのアカウントは、いまのわたしに取って、かけがえのない場所だ。
これからも大切に守っていこう。
これからも真摯に向き合って行こう。
この場所があれば、なんとか高校生活をやり過ごすことができる。
強くそう思った。
ここのところインスタグラムのことも、颯太くんへの思いも、誰にも話すことができなくて、どんなに苦しくても自分ひとりで抱えなくてはいけないことばかりで、少しつらかった。
学校とは関係ない、まったくの部外者にインスタグラムをやっているのが私だと認識してもらえて、中身について話すことができたことが、わたしの心を軽くした。
こんなに晴れやかな気持ちになるのは、本当に久しぶりだった。
わたしはお茶うけに横澤さんがだしてくれたキスチョコをポケットから取り出した。そして、手のひらにのせる。