『ここではないどこかへ。なんてすてきなタイトルだろう』


図書館で見つけた小説の表紙をの写真には、そんな言葉をそえた。


『不本意な場所だろうけど、一緒にがんばろうね』


エールにも似たそんな言葉を添えたのは、壁と歩道の間にできたわずかな隙間から顔を出したタンポポの写真にだった。

それらの投稿はフォロワーからのうけはよかった。

いいねの数が増えるので、同じように自分の居場所に満たされずにいる人は決して少なくないんだなと逆に励まされることもあった。

でも、そういう投稿をしたあとは、少しだけ後ろめたい気持ちになったのも事実だ。

悪口をつぶやいているわけじゃない。
でも、学校のみんなが見たらきっと嫌な気持ちになるだろうなってことだけは、わかっていたから。とくにわたしに気を遣って、仲間にいれてくれているえれなが見たら悲しむかもしれないなという不安があった。

多分、えれなもわたしがみんなといるために、少し演技をしているのは察していたと思う。

もしかしたらえれなも演技していたのかも。

ふたりでいるときのえれなは、もっとテンションも低かったし、まったりとした時間を過ごすことも多かった。特になにをおしゃべりするでなくても、気まずいことなんてないから、黙ってそれぞれのやりたいことをやっていることもある。