それまでの地味でまじめな優等生というキャラが嫌だったわけじゃない。でも、もう少し上手に周りとコミュニケーションがとれて、洗練された大人っぽい人になれるんじゃないかって、わたしなりの理想があったのだ。
でも、入学式を終えて、えれなと別のクラスになり、ひとりで自分のクラスに入ったとき、わたしは愕然とした。
自分がこれほどまで人見知りで、おしゃべりが上手じゃないっていうことを心の底から実感したのだ。わたしは十五にして初めて、いちから友達を作るという作業がどれほど大変かということを思い知ったのだった。
まず初めて会った子に、話しかけるきっかけがわからないし、何と言っていいかもわからない。どうしていいかわからず、焦っていたせいなのか、おどおどしていたせいなのか、わたしに話しかけてきてくれる人もいなかった。
周りはどんどん仲良くなっていくのに、わたしだけぽつんとひとりぼっちのような錯覚におちいって、そしたらもっとどうしていいかわからなくなって、もう下を向いてじっとしていることしかできなかった。
高校生になったからって、スキップするみたいに人はかわったりしないんだなって、あきらめと自分への失望を感じながら時間をやり過ごした。
一方で、別のクラスになったえれなは持ち前の明るさで、初日からたくさん友達ができたようだった。