「同世代で友達同士のコミュニケーションツールとして楽しんでる子はたくさんいるんだけど、自分の表現の場として使ってる子はまだ少ないの。しかも、宮下さんの場合は、オリジナルの世界が完全にできあがってて、すでに固定のファンをつかんでる。女子高生でここまでクオリティが高いのって、そうないと思うんですよね」

その言葉にわたしはいたたまれない気持ちになった。

「そんな、ほめすぎです……」

「ほんとよ、編集部でもかなり評価が高かったんですよ」

「あの、ほんとに自己満足でやってるだけなんで、あまり過大評価しないでください」
謙遜でもなんでもなかった。わたしはただその時の気持ちを残しておきたくて、写真をとって、自分好みに加工して、言葉を紡いでいるに過ぎない。

趣味というのも申し訳ないような、本当に自己満足としかいいようのないインスタなのに……。

横澤さんの説明は続いた。特集にはわたしのアカウントにポストした写真を何枚か掲載したいこと、わたしのインスタグラムへの思いとか、心がけていることなんかのコメントがあればいいこと、顔写真はいやだったらなくてもいいこと。(『覆面女子高生インスタグラマーってのもそそられるわよね』なんて、横澤さんは笑ってたけど)

「宮下さんは今までどおりポストを続けていてくれればいいの。わたしたちのせいで素性がわかったりするようなことは絶対ないようにしますから。ぜひこの取材にご協力ください」

横澤さんが深々と頭を下げた。誠実さと真剣さがそのおじぎにあらわれていた。わたしは思わずつられるようにして、頭をさげてしまった。

「わかりました。お受けします」

その言葉に横澤さんがほっとしたような笑顔を見せた。